屍体少女のSS墓地/4月10日まで休止。新人賞向けの長編書いてます

SS置き場です。アイマス、デレマスメイン。

ニュージェネSS「ガードレール」

土曜、ラジオ収録後。

―渋谷―

本田未央「うーん、収録後のから揚げはやっぱり格別ですなぁ」

渋谷凛「うう、見てるだけで胸やけしそう。毎週食べてて飽きないの?」

未央「無論だよ、しぶりん。このサクッと香ばしい衣と、あふれ出るジューシーな肉汁のハーモニー。いつ食べてもいいものですなぁ」

凛「よくわからない……。最近はただで人目を引きやすいんだから、ちょっと自重してよね」

未央「しぶりんは相変わらずお堅いのう、ね、しまむー?」

島村卯月「はい!はむ、おひひひです」

凛「あ、もう。卯月まで」

未央「だってしぶりん!渋谷だよ?せっかく来たんだから、から揚げを食べないともったいないって!」

卯月「私もから揚げ大好きです!」

りん「そんなにから揚げ有名だったかな……」

 

夕方

凛「もう日が暮れ始めてる。まだ5時になったばかりなのに」

未央「……」

卯月「……」

凛「……」

未央「時間が過ぎていくのは早いね」

凛「うん。少し前まではシンデレラの舞踏会であんなに騒がしかったのに。それからはあっという間で。なんだかもう、夢の中の出来事みたい」

未央「お芝居とか挑戦することは沢山あるんだけど。サイリウムがこう、一面にぱあって広がっている感覚がやっぱり忘れられないよね」

凛「うん、星の海って感じで。すごかった……」

卯月「早く、ニュージェネのライブ決まらないですかね」

未央「うーん、練習で集まることがないと、三人でこうして自由に行動出来るときってもうこの時間くらいだもんね」

凛「……」

未央「……」

卯月「え、えと!」

凛「?」

卯月「ステージを積み重ねて、少しずついろんな人と出会って、大事な人たちも増えていって。たしかにこうして一緒にいられる時間は減ってしまいましたけど。でも、一歩進むたびに思うんです。こんなキラキラしたステージに私が立っているなんてやっぱり夢みたいで、りんちゃんとみおちゃんがここまで引っ張ってくれたからだって。多分、これからも私、自分に何ができるんだろうって分からなくなるとおもうけど、でも私、やっと歌う理由ができたんです。二人がいてくれたから!だからくじけても今なら笑顔でいられる気がするんです」

凛「卯月……」

卯月「りんちゃん」

凛「は、はい?」

卯月「みおちゃん」

未央「な、なにかな?」

卯月「私、ニュージェネレーションが大好きです!だから、こうして三人でいられる時間をこれからも大事にしたいです」

凛「卯月……」

未央「しまむー」

卯月「えへへ、具体的にどうしようとかないんですけど……」

未央「う~~~」

卯月「未央ちゃん?」

未央、うずくまったかと思いきや、いきなり走り出し、一車線のガードレールをジャンプして飛び越える。

周囲の歩行者、驚いて未央に注視する。

未央「時間、もったいないよ!一緒にさ、もっと楽しも!ほらほら、早く、しまむー!しぶりん!」

凛「ちょっ、うちらスカートだよ!みんな、その、見てるし」

卯月「はい!島村卯月、頑張ります!えい」

卯月、走ってガードレール前に来ると、よいしょよいしょとガードレールを脚をまたいでよろめきながら越えてくる。スカートから覗く絶妙な太腿のラインに歩行者の目がちらつく。

卯月「はい!」

未央「よくやった、しまむー!ほら、しぶりんも早く早く」

凛「えっ……」

卯月「りんちゃん、ファイトです!」

凛「いや、だからスカート……」

未央「大丈夫、大丈夫、誰も見てないから!」

凛「ううう」

 

 

                                 凛

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                           卯    未

 

 

 

                                 凛

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                           卯    未

    

 

 

                           凛””

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                           卯    未

 

 

 

             凛” ”

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                           卯    未

 

 

 

                                  

       凛”   _________________________

                           卯    未

 

 

                                 

 

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         凛       卯           未 

                                 

 

 

 

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                         卯’ 凛  未’

  「「「………………………………」」」

 

凛「ッ……ホラ、行くよ!」

未央「ぶっ、しぶりんっ……ぷぷぷ」

凛「こら、未央!」

卯月「りんちゃんはかわいいです!」

凛「そういうのは奈緒に言ってやってよ……。次はどうすんの」

未央「実はヒカリエ、デパ地下の試食売り場が気になっててですね」

凛「もう、夕飯時だよ……あれ、卯月?」

卯月「あっ、すいません。ガードレールの白いのがついちゃったみたいで」

卯月、腰を曲げて、繊細な指で上品にスカートをなで払う。

凛「……ッ」

卯月「はい!取れました!て、あれ?」

未央「ううう」

卯月「どうしましたか?」

未央「天然おそるべし!」

卯月「えっ?えっ?」

未央「しまむーが結婚するまで、あたしたちがちゃんと見てあげないと!悪いムシがつかないように。ね、しぶりん!」

凛「う、うん」

卯月「ど、どういうことでしょうか?」

未央「いいのいいの、しまむーは大船に乗った気持ちでいてくれたまえ!さー行こ!ヒカリエにはサックサクのコロッケがわたしたちを待ってるよ」

卯月「は、はい!」

未央「ほら、しぶりん」

凛「だから、買い食いはほどほどにしなって!」

未央、卯月と凛の肩を押しながら歩いていく。

凛はネクタイを直すふりをしながら、そっとシャツの胸元を握る。

凛(少しだけ、卯月を独り占めしたくなったなんて、そんなこと絶対に言えないなぁ)

                    END